シニア人材の活躍
今回は、市内の企業でこれまでの経験を活かし、技師長としてご活躍されているシニアの方をご紹介します。
キーワードは『シニア人材の活躍』です。
お名前・プロフィール
酢馬 峯男さん(75歳)
株式会社トーケン
技師長(設備)
[現在の職務内容]
これまで12年間設備工事の設計、積算、施工管理、保全に関する業務の指導、支援を行っております。本年より新任の設備部長をお迎えしたお陰で、よりパワーアップして業務に取り組んでいるところです。
[勤務スケジュール]
私は正社員と同じ週休2日の勤務体系で、勤務時間はAM8:30~PM18:00です。そのうち、休憩時間は午前中に15分、お昼休憩1時間、午後に15分です。私達シニアの働き方は、一人ひとりの事情に合わせて配慮した勤務体系を調整して頂いております。
トーケンへご入社されたきっかけを教えてください
トーケンの現会長は前職の先輩で40年来のお付き合いがあることから、私の定年後の進路について相談をさせて頂きました。会長は公平でいつも前向きな方なので、相談しやすかったこともありますが、なんといっても心の熱い方なので遠慮なく自分の気持ちを伝えたところ、『若手の技術力アップに協力してほしい』と即断されたことがうれしく、それが励みとなって入社を決意しました。
トーケンで1番印象に残っている仕事を教えてください
特命で発注頂いた建物で「わくわくする工場」とのご要望を実現するために、お客様と一体となって取り組んだ事例があります。工場で働く社員の皆さんの作業環境を、新しい感覚で見直し、徹底して改善することが目標です。最大の課題であった「製品を製造する際に発生するオイルミスト」の濃度低減であり、高天井・大空間の全体空調と併せて一体システムとして省エネにも配慮した快適な環境としたことでした。また、これまでの作業環境は、どちらかというと機械に埋もれてのモノづくりでしたが、建物構造をインフラ設備主体に考えたことで、室内全体が開放的になり、通路にも余裕が出来て安全性が向上しました。エネルギー削減には、工程内で大量に消費し放流していた工場用水の給水供給フローを区分し、再利用用水フローを計画したことにより、水資源を最大限活用できるようになりました。
このように、まだいくつもの難題がありましたが、熱心にアドバイスをいただいたお客様に支えられたお陰で、品質の高い工場を提供することができました。そんな苦労の甲斐もあって、最近は他社から工場案件の引き合いも多くなり、現在でも継続して工事計画から携わらせて頂いております。
現在の役職について感じることがあれば教えてください
役職へのこだわりはありません。年長者として出来るだけ皆さんのお手本となるような行動をとることを常に心がけています。
働くことのメリットは何ですか?
年齢を忘れて仕事に夢中になれることや、会社の発展を身近に経験できるメリットがあります。子供や孫のような若い社員の成長を間近に見ることができ、毎日がとても充実しております。また、現在は設備工事の川上から川下まで幅広い業務に携わっており、大手ゼネコンでは味わうことの出来なかった仕事の進め方を経験することができ、やりがいのある日々に感謝しています。
働くうえでの目標などがあれば教えてください
設備部員がのびのびと自分らしさを発揮して働けるように、また仕事で良き相談相手になれるように日々の業務に取り組んでおります。若い方々がいち早く自立できるよう、日々バックアップしております。
一緒に働くスタッフから見た酢馬さん
酢馬技師長は、高度な技術と豊富な経験を持つ技師長として、若手社員からも尊敬され、慕われています。75才となった今でも、技術者として現場の先頭に立ち、リードする姿には頭が下がります。技師長として元気にやりがいを持って働く姿は、若手をはじめとする全社員の励みであり、理想像ではないかと考えております。時には愛情ある辛口の助言をするなど、指導役を担う存在でもあります。
株式会社トーケンについて
設立 | 昭和45年(1970年)7月27日 |
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事業内容 | 建設総合サービス業 |
本社所在地 | 金沢本社:石川県金沢市入江3-25 小松本社:石川県小松市浮城町76-1 |
代表者 | 代表取締役会長 根上 健正 代表取締役社長 伊野 博俊 |
ワーク・ライフ・バランスへの取組 | 令和4年 経済産業省「健康経営優良法人2022(ブライト500)」認定 令和4年 「令和4年度高年齢者活躍企業コンテスト 厚生労働大臣賞」優秀賞 令和3年 経済産業省「健康経営優良法人2021(ブライト500)」認定 令和2年 「第1回かがやきカンパニー大賞」受賞 令和2年 「金沢市はたらく人にやさしい事業所」表彰 令和元年 「石川労働局長 ベストプラクティス企業」認定 平成31年 「小松市やさしい職場事業所」認定 平成31年 「石川県いしかわ健康経営優良企業」表彰 平成30年 「石川県ワークライフバランス企業」表彰 |
シニア人材活用のきっかけをお聞かせください
2008年、地上9階162室の大型物件(看護士寮)を受注した際、当時の担当工事長の技術不足による不安を補うため、弊社会長友人の大手ゼネコン技術者に指導協力をお願いしました。そのおかげで、大手ゼネコンの工法で工事を完成させることができました。この時、「技術は確かに企業にあるが、実は個人が持っている」ということを改めて実感しました。そこで大手ゼネコンOBを技師長として招聘し、若手をはじめ、社員に技術を伝授して頂く「技師長制度」という仕組みを作り、高齢技術者を招いたことがきっかけです。以後、積極的にシニア人材が活躍できるよう努めております。
シニア人材の雇用状況を教えてください
現在、60歳以上の高年齢者は全社員数の21%です。93名中20名がシニア人材となります。20名の内訳ですが、役員6名、顧問3名、技師長3名、プロパー社員4名、工事現場で勤務が4名です。年齢層は、役員も含めると、70歳以上の方が5名、70~65歳の方が9名、64~60歳の方が6名となります。最高年齢は社員で75歳、役員を含めると76歳となります。
シニア人材活用のメリットは何ですか?
高年齢者が長年培ってきた経験や、ノウハウなどの強みを生かして働くことが、若手育成や技術力・管理力の向上、会社の成長にも繋がっています。また、業績向上や企業発展に貢献して頂いており、若手・壮年社員から慕われる企業風土が高年齢者のモチベーション向上や「やりがい」、「働きがい」となる好循環が生まれています。
シニア人材活用推進に向けた取組について教えてください
シニア社員によっては、個々の体力や体調が異なり、生活設計や家庭環境などの違いもあるので、働き方を柔軟に選べるようにすることが必要だと考えております。シニアも含めた多様な人材が働きやすく、活躍できるような仕組みづくりや安心して働ける環境づくりといった、ダイバーシティ経営に取り組んでいきたいと考えております。
職場環境等で配慮されていることはありますか?
定年年齢を65歳に引き上げ、継続雇用制度として、希望者全員を70歳まで雇用することにしました。現在は、更にモチベーション高く働いて頂くため、70歳までの選択定年制度も検討しています。また、人間ドックの費用を会社負担にする制度や3大疾病罹患時の給付金制度なども整備しました。その他にも、建設DX・IT化推進による移動リスクの軽減など、労働負荷を軽減する環境づくりにも取り組んでおり、安心して働き続けられるよう配慮しています。
社内・外でどのような反応がありますか?
社内では、トーケンアカデミーや胎動塾での技術指導など、シニア社員にとって活躍の場があるので、働くやりがいが生まれています。また、若手社員にとって技術の習得はもちろん、様々な経験やノウハウを継承できるので、社内の活性化にもなり、良好な信頼関係が生まれています。社外からも高度な技術力とその継承が認められ、会社の与信力向上にもつながっています。その他にも、地域貢献事業でシニアが活躍しており、地域から感謝されることもやりがいに繋がっています。
企業としてシニア人材活用を推進する上で重要なことは何ですか?
シニア人材が持つ、高度な技術や経験・ノウハウが十分に発揮できる環境の整備であったり、会社の将来を担う若手の教育にも携わって頂くことで、シニア人材がやりがいを持ち、モチベーション高く働いてもらうことが重要だと考えております。また、弊社は「健康経営優良法人2022(ブライト500)」にも認定されており、これからも継続して健康経営に取り組み、社員が安心して働ける職場環境の整備に努めてまいります。