管理職登用による女性活躍

プロフィール

森高 靖子 さん
加賀建設株式会社
土木部 課長

工事の現場代理人兼監理技術者として、工事現場の監督業務に従事しながら、課員の指導を行っています。

■管理職となった経緯

以前の建設業界は男女で同等の業務であったとしても賃金格差がありましたが、会社が性別にとらわれない公平な能力評価の判断基準を取り入れた人事評価制度を設けたことをきっかけに判断していただいたと聞いています。

また、これからの建設業界には女性の活躍が必須であり、将来を見据えての抜擢とも聞いています。

■部下を指導するうえで心掛けていること

部下のモチベーションを高めるため、あまり細かく口は出さず、部下を見守りつつ各々に任せるスタンスを心掛けています。

また、ひとりひとりの性格も違いますから、目の前の部下にちゃんと向き合い、その人にあった指導をするよう工夫しています。

■現在の役職について感じること

課長になり、自分の担当業務だけではなく会社全体の運営や若手の育成など、会社の未来について考えるようになりました。

特に若手の方に伝えているのは、何か自分の強みが1つあると自信につながり会社に貢献している実感も得られるので、パソコンなどのスキルアップを勧めています。自分が蓄積した経験、知識も若手に伝えていきたいと思っています。

■プライベートとの両立について

週休2日や時間単位の休暇を取得できるようになり、子どもの行事等で休みやすくなりました。管理職も休暇を取得したり、残業をなくそうと退社を促すことで、会社全体が休みやすく帰りやすい体制になりました。

■管理職に登用されたメリット

管理職に登用され会社全体のことを考えるなど視野が広がったことや、上に意見を通しやすくなったことはメリットです。

また県建設業協会女性部会「結の会」に会長の立場で参加することで建設業界の女性の悩みを共有しあい、離職率が多かった若手の女性を支えられることも良かった点です。

■加賀建設 株式会社について

設立

1943(昭和18)年6月

事業内容

土木・建築・地域活性化事業

本部所在地

金沢市金石西1丁目2番10号

代表者

代表取締役 会長 鶴山 庄市

代表取締役 社長 鶴山 雄一

ワークライフバランスへの取組

平成29年度 はたらく人にやさしい事業所表彰受賞

■加賀建設様の取り組み

(お話) 人事担当者 木戸さん

【女性管理職登用のきっかけ】

変化への対応が迫られる現代において、当社に無いものを取り入れ、挑戦してみることが刺激になるのではと当時の社長(現会長)が考え、男女ともに誰もが働きやすいような職場環境の改善・社内制度の整備などを積極的に行うようになりました。

その中で、人事評価制度を明瞭化し、性別を問わずその人の能力に応じた役職に登用するといった取組の結果、女性の管理職に森高さんが就任されました。

【管理職の女性比率】

現在の管理職の女性比率は6.25%です。16名中1名が女性で、この他課長代理にも20代の女性が1名登用されています。

当社は女性社員の年齢層が低く、経験年数もまだ浅いため、今後経験年数や仕事の能力に応じて役職登用を行う予定です。

【女性管理職登用のメリット】

社員にとっては、キャリアパスが見える、選択肢が増えることを実感できることです。会社から見れば、個人の能力の発揮による会社への貢献はもちろんのこと、安定的な雇用に寄与すると思います。

子育てなど人生のステージが変わっても、働き続けられるという安心感を感じてもらうことで、高いといわれる建設業の離職率の歯止めとなることを期待しています。

【職場環境等の配慮】

柔軟な働き方が出来るように、育児中の社員を対象に希望にあわせた雇用形態への転換を可能にしています。

また森高さんのような育児と子育てを経験した女性社員をロールモデルとし、他の女性社員の相談窓口となってもらうことで、仕事と生活の両立がしやすい環境を整えています。

子供の行事の為の特別休暇制度も導入し、多くの社員が利用しています。

【社内・外での反応】

社内では人事評価制度において、性別に関係なく公正公平に評価してもらえるため男女ともに最大限のパフォーマンスを発揮できると好評である。

社外では女性活躍推進について、様々なセミナーへの登壇依頼や他企業から弊社の取り組みについて詳しく話を聞きたいなどのお声がけをいただくようになっている。

森高さんもメディアに取り上げられたことがあり、会社のイメージアップにつながっている。また、厚生労働省からはえるぼしやくるみんの認定を頂くなど、弊社の取組みが形として評価されている。

【女性管理職登用を推進するうえで重要なこと】

仕事と子育ての両立ができるようにし、出産や育児などのライフステージがあるなかでも、柔軟に働けるよう会社がサポートする体制をつくることが重要です。

また、階層ごとに外部講師を招いた研修を実施するなど、誰もが管理職を目指せるような仕組みづくりも大切にしています。

【職場の方からみた当事者様の印象】

社内での管理職としてのふるまい、業務遂行能力は申し分なく、正にロールモデルの役割を果たしてくれているという認識です。本人は明るい性格で、子供も育てながらの仕事は大変とは思いますが、少しも顔に出さず、上司からも部下からも好かれています。

また、県建設業協会女性部会「結の会」の部会長に就任されるなど、行動力ある前向きな姿勢は、外部からもリーダーとして尊敬されていると感じます。